タイトル

Z坂
▲これが難関のZ坂か……

出鼻をくじく向かい風

「スタートから大佐渡の北端までは風もあまりなくて走りやすいよ」という話を誰かから聞いていた。しかし、走り始めた瞬間から向かい風! 体が暖まっていないとはいえ、踏んでも踏んでも時速15kmしか出ない。ボー然。しかし、まだ始まったばかり。前に進むしかないのだ。

20km地点の相川AS(エイドステーション)到着。予定時間より15分早い。40km地点の入崎(にゅうざき)ASまでは平坦基調なので今のうちに少しでも時間を稼いでおきたい。向かい風と寒さでじっくりと景色を見る余裕はなかったものの、千畳敷など広がる海岸美に息をのむ。

60km地点手前で私の目に入ってきたのは「Z坂」。ウワサには聞いていたが、本当にZだ! しかも、下から見えるZ坂のあとに、小さな「隠れZ」もあるらしい。加えて、20km地点を越えてから体調が悪い。というか気持ち悪い……。あまり眠れなかったからだろうけど、体に力が入らないので平地でもスピードが上がらない。「上り坂では頑張るな!」というアドバイスを思い出し、Z坂を上り始める。

Z坂中腹
▲Z坂の中腹で景色に見とれる。「おー! こんなに上ってきたんだー!」という感動が大きい
なにはともあれ、上り坂は大嫌いだ。即インナー×ローに入れてクルクルとペダルを回す。やっとの思いで中腹に着いた。写真を撮る人の脇に、足がつってスタッフの人にマッサージをしてもらっている人までいる。確かにキツイ。しかし、眼下に広がる景色に 感動! キレイ!というよりは、こんなに上ったんだ!という達成感が大きかったけれど。

やっとのことでZ坂を上り切ったころ、晴れ間が出てきた。その後に待ち受けるのが大野亀の上り坂。ギヤチェンジを忘れてウットリするほどの亀っぷり。必死の"ペ
ダルクルクル"でこちらもなんとかクリア。

気温が上がってきたおかげか、体調が落ち着いてきた。大野亀の坂から72km地点のはじき野ASまではすぐだった。距離を乗れば乗るほど胃が食べ物を受け付けなくなってしまう私だけど、はじき野ASでは、今までのASのなかでいちばん元気。重たくならない程度に食べる、食べる。ハンガーノックの怖さは、去年の石鎚山(いしづちやま)ヒルクライム(愛媛県)で思い知っている。しかし、この時点で予定より30分遅れ……ヤバイ。

はじき野ASを出て快調に下る! 気分もいい。何十kmも続かないのなら、下りは大好きだ! 本誌編集長も1回目の佐渡はリタイアしている。だったら1回で完走してやりたい!と思ったのもつかの間、めちゃくちゃきつい向かい風! 笑ってしまうくらいに!「風、やまんかい!」とお決まりの暴言も出始めた。すでに、人生最長距離を更新し続けている。上ったあとには下りがある! が、その後にはまた上りがある……。目の前に延々と続く細かいアップダウンに心が折れる。
ロングライドでほっこりなあるあるスライドショー
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