初のお一人様走り脱出!
はじき野ASを通過して海岸線をひた走り、100km地点の両津BS(弁当ステーション)には10時半に到着。食事をしたり、参加者と話をしたりとマッタリ。時計を見ると、すでに11時半。もう1時間たったの? じつは隊長から「完走を目指すなら、両津BSを11時に出発しろ!」
という指示があったのだ。あわてて飛び出す。後半戦の開始。佐渡はここからが本番だ。両津BSから多田AS、さらに小木ASまでの62kmはひたすら海岸線を走る。
自分のペースがあまりにも遅いので、これまでほとんど単独走行をしていたのだが、ついに他人に引っ張ってもらうことに成功! 本来の実力以上の速さで小木ASまで走ることができた。

コンパクトクランクは必要⁉
「自分、ノーマルクランクなんですけど大丈夫ですかね?」と声をかけられたのは、小木ASを出てすぐの上りだった。本誌の記事で、佐渡ではコンパクトクランクが必要とあったのを読んだとのこと。上りでヒイヒイしていた僕は、つい「僕もノーマルクランクですよ。大丈夫!」と言ってしまった。これまで編集部の佐渡挑戦者は、みなコンパクトクランクで参加してきた。それなのに、最も貧脚の自分がノーマルクランク? この先待ち受ける15%坂を上り切ることはできるのか。声をかけてきた参加者は、「もう体中の筋肉がダメですよ」と言い残して、走り去ってしまった……。え〜。そして15%坂を迎えた。


後ろを振り向けば、僕のすぐ後ろで同じように足を着いている参加者たちがいた。みんな止まるきっかけが欲しかったのか⁉
結論。佐渡にコンパクトクランクは絶対に必要というわけではないが、人によっては必要です。
最強の補給食。それは……

15時半に素浜ASを出発してすぐに坂を上り始める。180kmを走ってからの上りなので確かにつらい。勾配自体はそれほどでもないのだが、とにかく上りが続く。ここはシッティングで無心にペダルを回していくしかない。そんな僕の横に隊長がクルマでやってきた。「ダンシングも混ぜて、いろいろな筋肉を使え! 乳酸を出さないように」。ム、ムリッす。ダンシングなんかしたら、あっという間に脚が終わってしまいます……。今回、僕は初めて隊長に背いた。
素浜坂に続きもうひとつの坂を上りきった。あとは海岸線に出てフィニッシュまで走りきるのみ。残り10kmは向かい風気味になる。海岸線特有のアップダウンとともに、疲れた脚にはかなりこたえる。
そんなとき聞こえてきた地元の人たちの声援。夕方にもかかわらず参加者たちに声援を送っていたのだ。思えば、早朝からたくさんの人たちから声援をもらってきた。なんか元気が出てきた気がする。ひょっとすると、今回いちばん効いた補給食は、地元の人たちの声援だったのかもしれない。
17時、佐渡を一周した僕はフィニッシュとなるスタート地点へと戻ってきた。
【210kmコース】
出走1854人、完走1736人(完走率93・6%)。
島のいたるところで地元の人たちの声援を受ける。この声援も佐渡を完走する大きなエネルギーとなるのだ。写真は鼓童の研修生たち
ASの補給食はロングライドイベントの楽しみのひとつだ。両津BSのおにぎり弁当は、肉系とあっさり系の2種類を用意。それをみそ汁とともにいただく。左のわかめそばは相川ASで振る舞われたもの
